超高音質のオープンイヤー型イヤホン「Oladance OWS Pro」レビュー

ガジェット

まるで耳元に高級スピーカーを設置しているかのよう。

ここ数年、にわかに注目を集め始めている「オープンイヤー型イヤホン」。通常のインナーイヤー型イヤホンに比べて、長時間装着してもムレや痛みが起きにくく、スポーツやオンライン会議に最適です。

中でも昨年発売された「Oladance ウェアラブルステレオ」はその音質と着け心地で、これまでの「オープンイヤー型イヤホン」では当たり前だった低音質というイメージを刷新し、数々のメディアで大絶賛されました。

今回そのアップグレード版である「Oladance OWS Pro」を発売日当日に購入し、数日使ってみたので、レビューしたいと思います。

結論から言いますと、価格は34,800円(税込)とお高めですが、かなりいいです、コレ。

これまでの常識を覆す圧倒的な高音質

「オープンイヤー型イヤホン」はこれまでにも骨伝導式やイヤーカフタイプなど、いくつかの商品が発売されていました。ただ、それらの製品はスポーツ用途や外音を聴きながらの通話など、純粋な音楽鑑賞とは少し異なる用途を想定しており、いくら高音質を謳っても従来型イヤホンの音質には遠く及びません。そのため結局、耳を塞がないという形状は、音質とトレードオフの機能である、というのがこれまでの常識でした。

その常識を覆したのが、昨年発売された「Oladance ウェアラブルステレオ」です。

昨年(2022年)発売され大きな話題となった「Oladance ウェアラブルステレオ」

今回の「Oladance OWS Pro」は昨年モデルよりも様々な機能がアップグレード。音質は旧モデルの16.5mmより更に大型化した23mm * 10mmの超大口径ドライバー、独自アルゴリズムによってさらに高音質になったといいます。

23mm * 10mmの大口径ドライバを搭載。通常イヤホンが5-8mmと言われているのでかなりデカい。

早速聴いてみましたが、音質は評判通り。数々のメディアが評する「耳に着けるスピーカー」という表現がまさにピッタリです。

低音から高音まで、全音域でとにかく解像度が高い。伸びやかな中音域のボーカルは耳元で表情豊かに聴こえ、裏で響くストリングス系の楽器やクリアな高音、そして低音ベースの響きやバスドラムのリズムに至るまで、全てが調和し耳に届きます。従来のインナーイヤー型イヤホンであれば、この音質はあったかもしれませんが、耳を塞いでいないだけで全く新しい音楽体験になります。まるで首から上だけが高級スピーカーに囲まれたホームシアタールームにいるかのよう。

これまでは高音質、特に低音を響かせようとすると「耳穴を詰めてナンボ」でした。AirPodsのようなインナーイヤー型のイヤホンから、耳栓のようなカナル型のイヤホンに変えた時、その低音の鳴りに感動した方もいるのではないでしょうか。「Oladance OWS Pro」は全く耳を塞いでいないにも関わらず、カナル型のイヤホンのような響きがするんです。

流石に幹線道路沿いを歩くときなどは、細かな音までは聞き取れませんが、出力を上げれば十分に聴こえますし、音割れすることもありません。私は、外出時など環境音が聞こえる場所ではカナル型のイヤホンと併用するつもりで購入しましたが、今のところこれ一つで十分です。ただし、構造上どうしても、インナーイヤー型イヤホンと比べて音漏れはしやすいので、図書館などの静かにしなければならない空間では従来型のイヤホンを使用したほうが良いでしょう。

イヤホンのウェアラブルを可能にする、超長時間再生と快適な着け心地、そしてマルチポイント

「Oladance OWS Pro」のもう1つの特徴が単体16時間、ケース付きで58時間という驚異的な再生時間。従来型も含め、完全ワイヤレスイヤホンでここまでの長時間再生が可能な製品は中々ありません。しかも15分の充電で6時間の再生が可能。もはや電池切れは全く心配しなくていいでしょう。

58時間の再生時間を可能にする充電ケース。イヤホン本体とセットでも101gと、見た目よりも軽量。

耳掛け部分には医療用の液体シリコンを採用しており、肌に優しくフィットします。耳に挟んでいるだけなので、すぐに外れるのでは?と心配になるかもしれませんが、そんなことは全くありません。頭を振っても外れることはないので、ランニングでも問題ないでしょう。装着感はインナーイヤー型イヤホンと比べて圧倒的に快適です。装着時間が長くなるにつれてその差は歴然。個人差はあるでしょうが、ムレや痛みが起きにくく長時間の着用が可能です。

さらに旧モデルでは未対応だった「マルチポイント」機能に対応。2台まで同時接続が可能なので、1台はスマホに繋ぎっぱなしにして、もう1台はタブレットでもPCでもすぐに繋ぎ変えることができます。

これら3つの①長時間再生、②快適な着け心地、③マルチポイントによって「Oladance OWS Pro」は常時身に着けられる = ウェアラブルなイヤホンを実現しています。OWSはOpen Wearable Stereoの意。「オープンイヤー型イヤホン」は他社製品にもありますが、ウェアラブルを標榜しているのは、Oladanceだけです。

高級感のある見た目と誤作動を起こしにくい感圧式ボタン

「Oladance OWS Pro」はブラック・ホワイト・シルバー・グリーン・ピンクの全5色展開。近未来的なシルバーにも惹かれましたが、傷が目立ちそうなのと、常時着用を想定してたので無難なブラックにしました。この色がまたイイんです。公式の製品写真では分かりませんでしたが、黒一色でも金属部分とシリコン部分で質感が異なり、シックな高級感があります。

各所で大絶賛だった旧モデルのOladanceですが、何人かのYouTuberがタッチ式ボタンによる誤作動を残念な点として挙げていました。

本製品では操作ボタンがタッチ式と感圧式のハイブリッドになり、旧作の不満点を見事に解消しています。操作ボタンに指で触れて前後スライドで、音量調整が可能ですが、曲の停止や再生、通話などは、ボタンをグッと押し込まければ作動しません。

あくまで「感圧式」なのでボタンが物理的に押し込まれるわけではありませんが、押したときには「カチッ」とクリック音がするので誤操作を防げるうえ、直感的な操作になっています。

操作ボタンは大きく、指の感触ですぐにそれと分かる。

集中モードやイコライザーに関してはまだ改善点あり

私的に大満足な「Oladance OWS Pro」ですが、あえて苦言を呈するなら、ソフト面です。アプリから「集中モード」という外音のノイズを聞こえにくくする機能を有効化できるのですが、これが本当に一部の音しか遮断することができません。もちろん「ながら聴きイヤホン」ですので、ノイズキャンセリング機能を有するイヤホンとは全く異なる思想の製品なのですが、その効果があまりにも小さいです。エアコンの作動音や、屋外からの車の走行音の「ほんの一部が遮断されるかな?」という程度でした。また、イコライザーに関しても低音・高音に寄せる機能はありますが、デフォルト音質との差は僅かです。

聞こえてくる音質が、環境音に左右され易い構造上、仕方のないことかもしれませんが、2機能ともまだまだ改善の余地があります。このあたりは次のモデルに期待したいところです。とはいえデフォルトの音づくりが十分過ぎる程のクオリティですし、なくて不便という性質のものではありません。本当に「あえて苦言を呈するなら」というレベルです。

左から、「集中モード」「プリセットサウンドの設定」「イコライザ」。

高級だが、これまでとは一線を画す音楽体験は万人にオススメ

従来のイヤホンにおいて、価格にも大きく反映される機能の一つにノイズキャンセリング機能がありました。イヤホンとしての音質は勿論、それに加えて高級なイヤホンであるほど外音を遮断することができます。熾烈な製品競争の中で、現在は多くのブランドが上位モデルにはアクティブノイズキャンセリング機能を搭載しています。最も売れている完全ワイヤレスイヤホンであるAirPodsも、後発ながら上位モデルのProには同様の機能を搭載しました。つまり、イヤホンの性能とは、いかに外音を遮断して音楽に没入できるかを競うものだったと言えるでしょう。

本製品はその流れとは真逆の方向で進化したイヤホンですが、寧ろこちらのほうが、仕事や家事、スポーツなどあらゆる生活場面で音楽を身近にし、幅広い用途に対応できるのでしょうか。

価格は34,800円(税込)と完全ワイヤレスイヤホンの中ではかなり高級な部類に入りますが(AirPods Proは39,800円(税込))、あなただけにBGMが用意された極上の生活を、是非体験していただきたいです。

遠くで遊ぶ我が子の声とセミの鳴き声を聴きながら久石譲の「Summer」を耳元でかけた瞬間、私は夕暮れ時の夏の公園で涙を流しそうになりました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました